■ 我が意を得たり2024.1.23


今日、令和6年1月23日の『日本経済新聞』一面の「春秋」欄を読んで、正に我が意を得たり、その内容に嬉しい衝撃を受けた。
現役リタイアを間近に控える自分にとって、ドンピシャリ! 勇気付けられる心強いものなのだ。
その全文を紹介しよう。
読んでいただければ、私が余計なことを付け加えなくてもいいことが、解っていただける筈だ。

誰かと競うためではなく、見せびらかすためでもなく、ただ自分ひとりを満たすものだけに囲まれた静かな生活にひかれる。
年齢を重ねるほどに憧れが強くなった。
映画の中でそういう主人公に出会うと、本筋に関係なく、格好いいな、ディテールに見入ってしまう。
▼アクション映画「イコライザー」の主役はホームセンターの店員。
眠れない夜にはなじみのダイナーへ行き、いつも同じ席に座ってお茶を飲みながら本を読む。
「老人と海」「見えない人間」―――。
亡き妻が挑んで果たせなかった名作100冊の読破が目標という設定だ。
単調な暮らしを読書で潤す中年男のたたずまいがいい。
▼「パターソン」の主人公は路線バスの運転手である。
時間通り型通り繰り返す日々。
毎夜犬の散歩がてらバーに立ち寄り、1杯だけビールを飲む。
それ以外に、彼には詩を書くという人生の喜びがある。
読者は今のところ妻だけ、それで十分。
心にあふれる言葉をペンでノートにつづる。
詩を通してありふれた日常が輝く。
▼そして公開中の「パーフェクト・デイズ」。
役所広司扮するトイレ清掃員は世間的には貧しく孤独なのだろう。
でも好きなロックのカセットを聴きながら運転し、就寝前にW・フォークナーや幸田文の本を読む時の表情は満ち足りている。
内面の生活さえ豊かならば人は幸福でいられる。
老いもひとりも恐れることはない。

2024・1・23




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