■ 本/三陸海岸大津波2024.3.24


『三陸海岸大津波』
●吉村 昭・著
●文春文庫・中公文庫

海外では大津波の災害が相次いでいるが、日本でも過去に゛とてつもない大津波″の経験をしている。

・・・不気味な引き潮は急速に増して、海底が露出、海面下にあった岩石がつぎつぎと黒い岩肌をみせた。そして、湾は、たちまちのうちに広い干潟と化していった。・・・

・・・或る漁師は、「大変な引き潮のあと、水面がモクモクと盛り上って寄せてきた」と言い、他の漁師は、「海水がふくれ上がって、のっこ、のっことやって来た」とも言った。・・・

例によって、淡々と書き綴られている作品である。

ところが読み進めるうちに、波に呑まれまいとあがき高鳴る鼓動を覚える自分にハッと気がつくことになる。

2005.5.28

<追記>
このエッセイを書いた6年後、2011年(平成23年)3月11日14時46分に、あの東日本大震災が発生した。
そして、まさに三陸海岸大津波が押し寄せ甚大な被害をもたらした。
私たちはその様をリアルタイムで、現実のものとしてTVの映像で見せつけられたのである。

2024.3.24




CGI-design