「男と女の間には 深くて暗い川がある」 20代前半の頃、耳に付いて離れなくなった歌のフレーズである。 その当時、結婚しようかと考えた女(ひと)が二人いた。 最初の女は、その想いを一途にぶつけてくるのが、耐えられなかった。 次の女は、こちらの想いを解っていただろうに、他の男と一緒になってしまった。 結局「男と女の間には 深くて暗い川がある」んだと、女性に近づくことはしなくなった。 30歳が迫ってくるに従い、両親はもとより周囲から、結婚を勧められうんざりした。 ただ、仲間には子供がいる奴もいて、結婚もいいものだとは思っていた。 結局29歳で結婚したものの、その女との間には深くて暗い川が流れて、今日に至っている。
「男と女の間には 深くて暗い川がある」のフレーズは、野坂昭如が1974(昭和47)年に歌ってヒットした「黒の舟歌」(作詩 能吉利人)にある。 その歌詞の一番と五番である。
男と女の間には 深くて暗い川がある 誰れも渡れぬ川なれど エンヤコラ今夜も舟を出す
お前と俺との間には 深くて暗い川がある それでもやっぱり逢いたくて エンヤコラ今夜も舟を出す
どうだろう? 誰もが身につまされるのではないだろうか。 そんなことを、具体的に解りやすく詩人の田口久人が書いている。 なるほど! と首肯されること必定だろう。
「すれ違う男女」 女性にとって会話は心のやりとりだが 男性にとって会話は情報のやりとり 女性は考えがまとまらないから話し 男性は考えがまとまったら話す 女性はすべて聞きたいと思うが 男性はすべて話す必要はないと思う 女性は悩みを聞いて欲しいだけなのに 男性は悩みを解決しようとする 女性は言わなくてもわかって欲しいのに 男性は何も言われなければ大丈夫だと思う だからいつまでも男女はすれ違う
田口久人 『そのままでいい−100万いいね!を集めた176の言葉−』 潟fイスカヴァー・トゥエンティワン
2014.11.30
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